あれは忘れもしないトラウマの記憶。
当時の僕は小学校の低学年で、その時の流行りがビー玉集めだった。公園で友達とビー玉を見せあって、どっちがカッコいいだの何だの話してた。
あまりにもビー玉に夢中でそいつが近づいていたのに気付かなかった。
「ねぇ、そのビー玉ちょうだい」
その当時は知らなかったが、後から姉に聞いたら、頭のネジがぶっ飛んでると有名な女子高生で、この町じゃ知らない人は居ないらしい。
そんなことは知らない僕は当然の如く断る。
「やだよ。これは僕のだよ。」
その女子高生から帰って来た答えは顔面への蹴りだった。一瞬何が起こったか分からないまま地面を転がる僕。鼻から液体が流れてくる。慌てて袖で拭う。しかし拭っても拭っても止まらない。そして、それが真っ赤な液体だと認識して理解する。これは血なんだと。
目の前の女子高生に対して恐怖する。怖くて怖くて仕方がない。体が思うように動かない。何かを狂ったように叫んでいたが、あまり記憶に無い。たぶんパニックになっていたのだろう。女子高生が僕に近づいて来て無理やりビー玉を奪った。
僕はビー玉を奪われて、女子高生にくってかかる。
「返してよ!僕のビー玉!」
今ここに女子高生VS小学生のガチファイトが!!!
なんて言ってみたものの勝負になるわけもなく、一方的にボコボコにされ、顔中血だらけで泣きながら家に帰った。
家に帰ったら母親が大激怒。まあ、そりゃー怒るわな。母親はその女子高生の家に怒鳴りこんでいった。その後の記憶はあまりないが、これが原因で小学校を卒業するまでその女子高生に怯え続ける羽目になった。